もし好きなサックス奏者を二人挙げるなら、
一人目は、知る人ぞ知る
知らない人は知る由のない!?
サミューエル・ジョンスン
酒場でも
十字架のイエスのようにこう呟く。
Eli,Eli, lama Sabachthani?
↑最初のaのうえに’をつけてね。
(サキソフォンは歓迎されなくなり、
往年の栄光になろうといていたのである。)
というのも、サキソフォンは精妙巧緻、
クラッシックのそれを凌ぐという意味で、
斬新な楽器とされていた。
しかし、ジャズは
必ずしも斬新であろうとするものではない。
クラッシックの精妙巧緻を粉砕して、
始原を取り戻そうとするものである。
サキソフォンに対する毀誉褒貶も、むしろ
サミューエルによって、その精妙さが
極度に発揮されるという矛盾から来ていたのだ。
森敦『意味の変容』所収
「エリ・エリ・レマ・サバクタニ」(筑摩書房)
ちょっとペダンチックでしたね。