エバポン


釈徹宗云く、善哉善哉、仏弟子エバポンよ

「われわれは近代成長期の最後の姿を見届けた」


ebaponは前世、エバポンだった。

エバポンとはそう、「エバポン一滴いい臭い」

のトイレの消臭剤であった。


そのエバポンが今ebaponとなって
「近代成長期の最後の姿を見届けた」
仏弟子として、釈尊者から印可決定を受けた。


便壺に落ちたエバポンはいかにしてそこから出ることができたのか?



ティム・オブライエンの『本当の戦争の話をしよう』の中に

ヴェトコンの奇襲を受けたことで

自分たちがキャンプを張った土地は

実は糞尿の溜地であったことに気づくシーンがあった。


上からは爆撃の雨、下は糞尿の泥濘。まるで黒澤明の一場面。


兵士はどうやってそこから生還できたのか?


同じくティムの『カチアートを追跡して』の作中、こんなシーンがある

加藤典洋さんの書評から抜粋する)


脱走兵を追う分隊の七人がヴェトコンの穴に落ちる。

そこはすでにヴェトコン側の幽閉者がいて、

ここから誰も外に出て行けないという。

「まだわからないのかい、出口なんてないんだ。これはパズルなんだよ」

でもその時、一緒にいた落ちた難民の娘が口を開く。


「入り口が出口なのよ」。彼女は言う。


「この穴には落ちて入ったんだから、今度は落ちて出られるはず」だと。







「近代的自我の陥穽」から脱出する唯一の道