You don't know what love is 考5

ある時、お釈迦様は、仏弟子阿難に

「私は、愛するところの身を捨てた」と語り始めた。

その証拠として阿難をして「苦行の菩薩の遺身の舎利」を見せしめる。

(阿難とトーマスは余りに似ている。イエスの創痕に触れなければその復活を

信じないように、まず釈尊は遺骨を見せるのである)


2C頃、釈尊の本生譚が編纂され始める。

日本でよく知られているのは玉虫厨子に描かれた二つの

本生説話(ジャータカ)

ひとつは、施身聞偈の雪山王子(『涅槃経』に依る)

そして、捨身飼虎の薩埵王子(『金光明最勝王経』に依る)

特に後者は文字通り「菩薩の自己犠牲的利他精神の取り入れ」を象徴する存在だ。



遺骨を見せた釈尊

「捨身飼虎」を語り始める


 昔、国王ありき。三人の王子ありき。(略)時に王子(略)

 大なる竹の林に至りて一の虎の七の子を産めるを見る。

 飢えに迫れて、つかれ痩せたり。死なむこと久しかるまじ。

 (略)

 三人の王子、(略)心にかなしびて虎を守ること目暫くも捨てず。

 久しく有りてみな去りぬ。

 薩埵王子、行くままにいよいよ深く念ふ、

 「我が身を捨てむこと、今正しく此の時なり」

(略)

 薩埵王子走り返りて、林の中に入りて、虎のもとに至りぬ。

 衣を脱ぎ捨て、竹にかけて



(続く 写真は、 玉虫厨子密陀絵模写 東京国立博物館