ひぃ〜さんの鬱勃 終章

大学時代、研究者擬き生活をしていた頃は、学術論文ばかりを追い続けていた。

週に一度図書館に行き片っ端から論文をコピーし、自宅で一週間かけて読みこなす。そんな毎日だった。

ある日、いつものように帰りの電車の中で、論文を読み続け、神戸の花隈駅をおり、いきつけのジャズ喫茶に向かっていた(アルテックとサボイカレーの店 名前は忘れてしまった)。途中、その裏にはホームレスが住み着いている看板にふと目をやると



イルカのコンサートのポスターが貼ってあった。

その瞬間、あれ自分は何をしているのだろうと、いきなり現実に引き戻された。理由はわからない。


(震災よりだいぶ前の話である。あの浮浪者や、ジャズ喫茶はどうなったんだろう)


最近、また研究に余念がなくなった。少し急ぎ気味であったかもしれない。
そんな折、拙ブログを通して、「ぐるぐるギャツビー」のひぃ〜さんと電脳上ではあるが知り合った。

ひぃ〜さん。ご自身のブログでフィッツジェラルドグレート・ギャツビー」の翻訳を披露している。

(ちなみにTHE GREAT GATSBY という題は、フィッツジェラルド自身気に入っていなかった。もうちょっと長い題をつけたかったそう。)

ひぃ〜さんから、勧められてフォークナーのTHE SOUND AND THE FURY(邦題 響きと怒り)を訳し始めた。


最初、何だ簡単じゃないか、って気楽に読み始めたけれど、第一章でつまずく。ひとつひとつの文章は簡単なんだけれど、いったい何を言っているのか分からない。ついに行き詰まって、翻訳本を購入することに。

見事にひぃ〜さんの奸計にはまったのであるが、ponのなかで、鬱勃たるおもいが始まった。研究を最優先してきたけれど、他にしたいことがあった。
したいことをする時間を考えると、そろそろ研究生活にピリオドを打たないと間に合わないことに気づいたのである。

ひぃ〜さんご紹介の実業家ヤコブ・ラビノー。その自伝の結びに引かれたフィッツジェラルドの言葉

アメリカ人の人生に第二幕はない」(ラスト・タイクーン 創作ノートから)

ならばちょこっと拝借して・・・

私の人生の第一幕が今上がった!

(つづく ←えっまだひぃ〜さんネタを引っ張るの・・・)