Dallmayr prodomo


妻の友人、ヘーゲルさんが来寺した。

夫の七回忌である。

ご主人のヘーゲルさんはドイツで永眠しておられて

pon寺にはその遺髪が納められている。

ヘーゲル家は教会に住んでおられるが、無宗教者である。

(その辺の事情は複雑なので割愛)

埋葬され10年立つと掘り起こされ

荼毘に付されるという。

その時はドイツに行って立ち会って分骨したいといっている。



ヘーゲルさんは有能な医師だったけれど、秋葉原が好きなちょっとおたく系なドイツ人であった。

いつか、pon夫婦はドイツに遊びに行く約束をしていたけれど

叶わぬ夢となった。

ミュンヘンでのんだくれて、デリカテッセンで〆でのむつもりの

コーヒーが贈られてきている。


ご主人が白血病で急死した、翌々日

同じ地区に住む日本人妻のご主人が首を吊って死んだ。

残された妻は「これで卒業した」と帰国した。

ヘーゲル奥さんは「振り出しに戻った」と感じたそう。


いま彼女は心理療法士の就職口を日本で探している。


三年後、遺骨を手にしたとき、賽の目はどうふられるのだろうか。