ponとこは、多頭飼いなんで
誰か彼か、死んでいく
個々の死はもちろん悲しいが
猫とのつきあいは続いていく
ぼうちちさんの前の犬は
律儀にも死出の旅につくまえ
わざわざ座敷に上がり
「そろそろおいとまします」
と挨拶しようとしたそうである。
「ぼっちゃんも、ときどきよだれを垂らして
あちきをみていたこともありやしたが、
よく食べないでがまんしなすった」
と、ぼうちちさんをじっとみつめて、そのまま
立ち去ったそうである
よくかんがえると、ponとこで、猫を見送ったのは
シャム猫の「ちびら」だけであった。
そろそろ化け猫になるのではないか
って年まで生きて、ある日、ふいと居なくなった
「死んじまったかな」
と思ったころ、
よろよろと姿を現し、皆の前で断末魔の叫びを上げて昇天した。
そうそう後一匹
シロが死んだ時のことであった。
外出していたponが寺に戻ると
シロが居ない
ちょうど寺にきていたぼうちちさんに
「シロしらない」って聞いたら
「さっき殺して埋めた」とこたえた。
だからシロの最後は見届けていないので
やはり猫との死別をこの目で確認したのはちびらだけとなる。