ebaponの宗教哲学「他者論」を考える上で、とても参考になるのが岩明均の漫画。
『寄生獣』の新一とミギーは内なる他者を考える上で重要なキャラクターだ。
もう一つ、大乗興起における他者の問題を考える上で、大切な視点を与えてくれるのがこの『ヒストリエ』
アレキサンダー大王の書記官を勤めたエウメネスの生涯を描くものである。
(写真は スキタイ騎馬像・紀元前300年頃・パジリク古墳より Wikipedia)
この作品の中で、エウメネスがギリシャの自由市民ではなく、奴隷であったという出自の謎が明かされる。
殺された母から、強靱な身体能力を受け継いでいたエウメネス。
エウメネスの出自が明かされる切っ掛けとなるのは、ずば抜けた身体能力を持つスキタイ人奴隷「トラクス」との出会いであった。
ところで、スキタイの突出した身体能力は
騎馬戦においてこそ発揮しうるものであろう。
トラクスも最初、乗馬して戦う。
(「ヒストリエ」2巻より)
しかし、すぐ馬を射られ、歩兵として戦う。
はたして、スキタイ人は剣士として強かったのであろうか。
そもそもなぜスキタイは、騎兵として強かったのか。
キーとなるのは「鐙(あぶみ)」
馬具として鐙が発明されるのは紀元前300年頃。
それまでは、幼少期から馬を乗りこなし、武具を振り回しても、安定を保つ技術と強靱な大腿部の筋力が必要であった。
上の写真を見る限り「鐙」は描かれていない。
ちなみにスキタイ騎馬像では
鐙はもちろん描かれていない。
そう言えば、すでに登場した、『蒼天航路』の我らが董卓はどうだったっけ。
彼は周辺の遊牧騎馬民族「烏丸」兵等を従えていた。
(『蒼天航路』6より)
あれれれれ、鐙が・・・・
(因みに中国で鐙が使われ出したのは魏の時代)