湾岸ニュース


遅咲きの作家、エドナ・アニー・プルーの小説

『湾岸ニュース』

全米図書賞受賞作で、全米ベストセラー1位にも輝いている。
作者は、ニューファンドランド島の風土、歴史、生活を詳細に取材し、
そこに一篇の寓話的物語を織り込んでいる。

物語性より、その背景の描き方から、もしかしたらピュリッツアー賞を受賞することになったのかも知れない。
(その他、ハートランド賞、アイリッシュタイムズ国際小説賞受賞)

この原作を、ギルバートグレイプ、サイダーハウスルールなど、独特なストーリーと映像を展開する監督ラッセ・ハルストレムが映画化した。いまから十数年前の話だ。

ponは原作のイメージを余り損なわせたくなかったので、あえて映画は観なかったけれど
(巨漢でウスノロの30男をケヴィン・スペイシーが演じるのも無理かなって思っていた)
性悪女「ペタル」をケイト・ブランシェットが演じていることを最近知って、あわててみた。

出てくる俳優は皆アカデミー賞クラス。映画では直接絡みはなかったけれど、エリザベス女王を同じく演じたジュディ・デンチが安定した演技で存在感を見せている。

驚いたのは、ケイト・ブランシェット。見事なまで役柄を演じきっている。

映画では、主人公クオイルは、ただのインク工になっている。ちょっと記号化しすぎている気もしないでもないが、ラッセ監督はそこからストーリーをはじめたかったのだろう。

途中「12歳で亡くなった祖父」の写真が出てくるが、あえて説明を加えていない(原作では、説明されている)。テーマ的に重くなるからかも知れない。

ニューファンドランド島の映像はとても美しい。音楽も良い。幻想的なシーンもとても良く描かれている。
原作と合わせて観るととてもよい作品だ。
(その分、原作を読んでいないと分からない場面が多くなる。日本ではベストセラーにならなかったしね。)

ponは、DVD、シネスコスクリーン(フラット)で観たけれど、ブルーレイ、カーブドスクリーンでもう一度みたい。
音楽と壮大な風景に圧倒されることであろう。


(いや、べつにTバックでお尻を振り振りジーンズをはくケイト・ブランシェットが観たいがためではないからね)