専門書の壁

京都にいるときは、図書館が充実していて専門書に苦労しなかった。

宗門の大学は閉架式で、一々請求しなくてはならないのが面倒ではあった。

一度に請求できるのは確か5冊ほど。

で、いつも2〜30枚ぐらい前もって作っておいて、週に一度、朝から一日かけて

図書館カウンター前に居座り請求し続けた。

当時、良く読んでいた袴谷憲昭さんの学術論文。

この三冊に収められている論文は書き下ろし以外はだいたいその時のコピーで持っていた。

単行本で買うのは躊躇したけれど、学問的に世話になっているから思い切って買っている。

(真ん中の『唯識文献研究』も最近、意を決して買った。)


大学のカウンターにいる司書さんが書庫に行って、請求した本を探しそろえて持ってくる。

5冊端からざっと速読していき、必要な論文はコピーする(これも請求しなくてはならない)。

で、終わったら返却し、次ぎのオーダー書を渡す。


これを四五回繰り返すとだんだん司書さんの顔がゆがんでくる。

「もう読んだのですか」

汗をふいている。書庫への階段の上り下りがきついのである。

かまわず、一言、「急いでいます」とぼそっというebapon。

こういうシステムにしたのはpon側の問題ではないのである。

そうやって、あつめた資料は段ボールに4,5箱ある。



最近、地方にいると、学術論文はほとんど見ることができない。

特殊な学問なので地元の国立大学も県立図書館等も講読していない。




自ずと、専門書化するのを待つ。

しかし、専門書は高い。


まして絶版になると目玉が飛び出しそうに高い。


今、唯識思想の「心意識」について調べている。

手元にあるのは勝又俊教さんの『仏教における心識説の研究』一冊。

勝又博士の論究は、原始仏教から、大乗の起信論あたりまで広範囲に論じている。

でも、ponが注視しているのは上座部仏教系。

欲しいのは水野弘元さんの本

日本の古書店に2冊出展されている。

値段は

おお、安い。


いや、他の本として比べて安いだけの話で、とても買えない。

たとえば、同じテーマの



なんか、サキコロのオリジ買ったほうが満足度が高いような・・・


ところで、もう一冊。

春からの講義に必要な本がなかなか手に入らない。


加藤純章さんの『経量部の研究』


ponは現在「アビダルマの会」で、倶舎論周辺を研究している。

春からは瑜伽唯識の論師、世親の大乗転向を巡る問題を、講ずる予定である。

倶舎論→経量部→瑜伽唯識の流れの中で欠かせない分野の研究書である。

この本、名著なのに何故か絶版。

人気があって初版はあっという間になくなった。

ぼけっとしていたら有名大学の図書館も所蔵できなくなっている。

京大とか東大に無いという噂もあるいわく本。


うーーーん、かおおおおおおおかなあああああああ


それとも、復刊本リクエストしようかなあ。


思案の春の夜。