玉虫厨子の謎3 帝釈に見捨てられし天女篇2

涙の露の玉鬘 挿頭の花もしをしをと 

天人の五衰も 目の前に見えて浅ましや

羽衣

天人五衰

六道輪廻に苦しむ衆生

そのなかでは「快楽きわまりまし」と云われる


 (写真は 国宝六道絵 部分)


天道

しかし

「命終の時に臨みて五衰の相現ず」

一は、頭の上の華蔓たちまちに萎む。

二は、天衣、塵垢に着せらる。

三は、腋の下より汗出づ。

四は、両の目しばしばまじろぐ。

五は、本居を楽はず。


(文章は源信僧都『往生要集』から)


謡曲「羽衣」

猟師の白龍

沐浴中の天女の、木に架けていた羽衣を見つける。

「白龍衣を返さねば」

ワキ 「力及ばず
「せん方も

襲い来る天人五衰を憂える天女。

この相現ずるときに、天女・眷属みなことごとく遠離して、

これを棄つること草の如し。


「いかんぞ一旦にわれを棄るつこと草のごとくする」

愛する

「帝釈の宝座、朝謁するに由なし」


(ぼうのちちさんのいなくなった職場の椅子をみて

何人の女性が涙を流しているのだろう)


帝釈の宝座


帝釈の姿は見えない。


帝釈も又

「本居を楽はず」


天人五衰の兆候に憂え

本座を奪われることを恐れている。