報恩講のお荘厳の中で、大事なのは親鸞聖人の御生涯を描いた「ご絵伝」
聖人の33回忌にひ孫覚如が著した十三段の絵物語。(絵は浄賀法眼)
晩年に原本は焼失され、覚如はご絵伝を十五段に改訂し再び著した。
(絵は浄賀法眼の子や門人)
東本願寺系の寺院は、再刊されたいわゆる康永本を使用している。
(写真はebapon寺所蔵 部分)
この聖人火葬の場面は、初稿本の写本では
画面右下に髑髏が描かれていて結構リアル。
ところで、火葬の様子を遠巻きにみている一群が居る。
葬送の輿を担ぐ役目だといわれる
犬神人(いぬじにん)。
「清水坂の乱僧」といわれ、非人の一部に属していた。(河田光夫『親鸞と被差別民衆』参照)
ふつう、葬送の職能として、そこに犬神人が描かれていて何の不思議はない。
ところが、初稿本系を見ると
犬神人は、火葬の場を見つめているのではない。
犬神人の横に描かれている山は画面転換をあらわす「書き割り」である。
犬神人はその次ぎの場面に登場する存在でもあったのである。
(つづく)